YASHICA ELECTRO35 GT
【YASHICA ELECTRO35 GT】SPECIFICATIONS
製造メーカー名
発売年
型式
画面サイズ
レンズ
ファインダー
ファインダー倍率
露出計
フィルム感度対応範囲
シャッター
シャッタースピード
セルフタイマー
シンクロ接点
フィルム巻き上げ
フィルム巻き戻し
電源
サイズ
重量
販売価格
日本の大卒平均初任給
株式会社ヤシカ(Yashica)
1969年
絞り優先EE距離計連動式カメラ
36mm × 24mm
YASHINON-DX 45mm F1.7
透視一眼二重増合致式距離計連動式ファインダー
0.65倍
有り
ISO 12 ~ 500
COPAL ELEC
B・1~1/500秒(絞り優先)
有り
フルシンクロ(M/F/X接点)
レバー式
クランク式
HM-4N型水銀電池 1個
140×82×74mm
730g
29800円
34,100円
作例
感想
ロウソク1本でも撮影できる撮影できるカメラという謳い文句で販売されたカメラ。いくらレンズのF値が明るいカメラと言ってもF1.7です、本当にこのF値で撮影できるのかなと思っていましたら、ヤシカグリップ三脚を使えばロウソク1本だけでも撮影できるいうことでした(専用三脚でなく、通常の三脚でも可能)。絞り優先AEのカメラですので、ロウソク1本でもこのカメラのAEプログラムは長時間露光に対応する設計までしていますということであり、F値1.7の明るさで普通に「ロウソク1本でも撮影できる撮影できるカメラ」というわけではありません。この謳い文句だけが一人歩きしている感がありますが、良いカメラでよく写ります。
私は、YASHICA ELECTRO35 シリーズは以前から気になっていたカメラでした。それは、明るいレンズというだけではなく、デザイン、面構えががいいカメラということでした。(デザインに関して調べてみますと、社内のデザイナーではなく外部のデザインラボ:GKインダストリアル研究所が、手掛けています)。軍幹部には通常のカメラには見慣れない黄色と赤色の警告ランプが装備しており、カメラの軍幹部背面にはバッテリーチェックボタンも付けられ、それだけでも興味をそそられるカメラです。
しかし、カメラの趣味を始めた当時は、「YASHICA」という名前に対して先入観から購買欲が湧かず、また、YASHICA ELECTRO35シリーズは種類が多く、どれを購入していいものなのか判断がつかないという事で手を出さずにいました。そこで役に立つのは『Renge Fander』というサイトです。こういう種類の多いカメラの場合には、後継機の方が改良され性能が良くなっているという事と、大柄なボディには黒のモデルの方が面構えが良く見えることと、GSのボディに貼られている合成皮革のデザインが好きではなく(この当時の日本製のカメラに見られます)、ヤシカ エレクトロ35 GTを購入することに決定しました。
ヤシカ という会社は現代の我々からするとピンとこないカメラメーカーですが、ヤシカは1949年に創業し、1953年にカメラ業界に参入。1959年にはニッカカメラ株式会社を買収し、後にズノー光学工業を買収し、同社の技術も獲得。そして、ヤシカエレクトロ35で培った電子制御技術の実績と、子会社富岡光学のレンズ製造技術が評価され、1974年9月にカール・ツァイスと提携。その後、経営不振により1983年には京セラに吸収合併というカメラメーカーです。そういう経緯を考えても十分な技術力を持った会社ということが理解できると思います。
ヤシカ エレクトロ35シリーズは、最終機種(1975年)までのシリーズ累計販売台数は世界で約500万台に達するベストセラー機となり、そのために、カメラ屋、ネットオークションでもよく見られ、安値で購入することができると思います(程度にもよりますが、ネットオークションでは3000円前後。2022年現在)。
ヤシカ エレクトロ35シリーズは、電池電源をこれまでになく積極的に活用したことによる露出制御の自動化・機構簡略化の操作の絞り優先EEのカメラです。フィルムを入れた後ISO 感度設定を行い、ピントを合わせ絞りを設定すると、カメラがその露出に合わせたシャッタースピードを設定してくれます。もし、その露出に問題がある場合には、シャッターボタンを半押しの時に軍艦部にある警告ランプが点灯し、赤ランプの点灯の場合には露出オーバー、黄ランプば手ぶれ警告を示してくれ、その場合にはF値を変更いたします。通常の外での撮影では、露出警告ランプが点灯することはありませんので、ストレスなくシャッターを切ることができると思います。
最初の撮影では古いカメラをあまり信用していないというか、当時の絞り優先EEは本当に適正露出で撮影されているのだろうか?という不安感は最初は拭えず、常に撮影していて不安感がありましたが、結果は見事に裏切られます。現像されたネガを見て驚くのが均等な露出で露光されており、綺麗なネガに仕上がっているということでした。50年以上前のカメラですが、よく写るカメラで、当時人気がありよく売れたということが、納得させられるカメラです。また、このカメラは木の葉の色が特に綺麗によく写ると感じたカメラです。
・残念な点
1)シャッターボタン操作は ストロークが長く、 グニュっとした 若干バネを押しているような 感じがあり、 シャッ
ターを 押した時に、どこでシャッターが切れているのかがわからない感触です。そのため撮影していて手振れが
起こっているのではないかと不安感が生じます。結局は手ぶれ等の問題はありませんでしたし、慣れるとどこで
シャッターが切れているのかが判ってきます。(当時のEEのカメラはメーカー問わず、設計上このようなシャッ
ターの感触です。)
2)このカメラのサイズの割にはファインダー倍率が小さく、撮影時に、遠景の被写体は更に小さく見え、視力の弱
い私にとって二重像は合っているのかわからないということが多々ありました。
YASHICA ELECTRO35 GTはサイズは当時のレンジファインダーカメラの中でも大きいサイズ感があり、現代のカメラのサイズからすると、さらに大きい感じがするかもしれません。そういう人は、レンズのタイプは変わってしまいますが、ひとまわり小さいYASHICA ELECTRO35CCや、YASHICA ELECTRO35MC等を選択してもいいかと思います。(下の図のYASHICA RLECTRO SERIESを参照)
ヤシカエレクトロ35シリーズ
「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指し、長時間露出性能の高い電子シャッター使用の絞り優先EEを採用したライカ判EEカメラで、初期はキヤノンの「キヤノネット」などシャッター速度優先EEカメラ、中期以降は小西六写真工業の「コニカC35」シリーズなどコンパクトなEEカメラが事実上のライバル機となった。自動露出機能を持ったEEカメラブームの中で初めて積極的に電池電源を活用した設計を採用。機構の簡略化と信頼性の向上を実現し、世界で約500万台を販売した。F1.7の大口径レンズ「ヤシノンDX/カラーヤシノンDX」と、2分という長時間露光から1/500秒の高速シャッター秒時まで備えるコパル製「コパルエレク」電子シャッターを搭載、暗い場所での撮影を得意とした。機体デザインはGKインダストリアル研究所。「落としても壊れない」がキャッチフレーズで、牛山善政社長自らテレビに出演してカメラを落として見せるパフォーマンスを披露し話題を呼んだ。電池はこのカメラのために作らせたといわれる、高電圧を出せるHM-4N積層水銀電池を使用。(ヤシカのカメラ製品一覧 Wikipediaより抜粋)
・ヤシカエレクトロ35GT(1969年発売)
エレクトロ35Gのブラックモデル。Gは、基板の電気接点にロジウムメッキに替え金メッキを採用し耐久性を向上した「ゴールドメカニカ」の略である。また、巻き上げレバーの形状変更などもなされている。
絞り優先EE距離計連動式カメラ。解像度や周辺光量が増したCOLOR YASHINON-DX 45mm/F1.7のレンズを持つ。軍艦部にあるLEDで露出警告を表示する。赤ランプは露出オーバー、黄ランプば手ぶれ警告を示す。ボディー前面にはGTのロゴがあるが、レンズがYASHINONであればGT、COLOR YASHINONであればGT(S)である。
販売価格:29800円(1969年の大卒初任給は34,100円)
YASHICA RLECTRO SERIES
上記の作例の1〜6枚目までは YASHINONレンズ、7〜12枚目まではCOLOR YASHINONレンズ。私の感想ではCOLOR YASHINONのレンズの方が、抜けが良く、色に締まりがある写りのような気がする。
以下に「写真工業」と「アサヒカメラ」の誌面でのレンズの評価を抜粋し掲載します。
1966年6月号 写真工業 新型カメラの技術資料
ヤシカ エレクトロ35の撮影レンズには、既に定評を得ているヤシノンレンズが使用されている、名称はヤシノンDX45ミリF1.7で、設計値は焦点距離が45.0ミリ、画角は対角線50.5度、水平43度、垂直29度となっている。コーティングはアンバーとマゼンタを組み合わせたスペクトルコーティングを施して、カラーフィルムに対する撮影を高めるようにした。F1.7という明るさは ,00番のレンズシャッターにビトーウィンできる標準レンズの限定値である。したがってF1.7レンズの組込みにはかなり難かしい問題もあったが、光学技術陣の努力によって、初めてこれを実現することができた。これはヤシカ ・ミニスター700(1964年9月発売)によって装着市販された。ヤシカエレクトロ35に採用されているレンズもこれと同一のレンズであるが、シャッター寸法上の制約にもかかわらず、35ミリカメラの性能を十分に発揮できたと思っている。
このレンズの設計では、特に高級機用大口径レンズの設計基準が取り入れられており、残存収差量は極めて僅少である。そのために球面収差、非点収差、象面湾曲などが小さく、また収差のばらんすにきをつかったため、開放絞りでも全画面にわたってコントラストや切り込みの良い画像が得られる結果となった。また軸方向および倍率の色収差もかなり小さい。
(1966年6月号 写真工業より抜粋)
話題のカメラ診断室:アサヒカメラ ニューフェイス診断室
レンズはヤシノンDXD 45mm F1.7で4群6枚構成のガウス型画角は公称51.4度で、最短撮影距離は80cm。
焦点距離と明るさの実測値は45.9mm F1.76でまず問題ない。球面収差は割に小さい方でF5.6の絞った時の焦点移動量は0.06mmの後ピンと測定された。放射、同心両像面は半画角20度へんで交わらせてあり、それより内側では開きも少ないが画面スミ部に行くにつれて大きく開いている。平均像面は幾らか内側に湾曲している。
湾曲は画面スミ部でマイナス1.7%のタル型で、画角の大きいところで急増するタイプのため。やや目立つ。画面の周辺にゆくにつれ明るさが減る割合を示す開口効率は、画面対角線90%の位置で29%これはかなり小さい値で、絞り開放で撮影すると周辺香料の不足が認められる。
解像力は、表の通りで、絞り開放では画面周辺部に難点があるが、絞るに従って良くなり、F5.6では非常に良い値を示している。実車の結果も、開放では背景の環状ボケや周辺部の像の乱れが認められたが、少し絞ると大変シャープになり、ボケ味も素直であった。このレンズの設計者は、開放時の性能をいくらか犠牲にして常用絞りにおける高性能を狙うという主義のように見受けられる。
鏡胴は直進ヘリコイド式で、距離目盛のついたリングまでいくらか前進後退するのは珍しい形式である。無限園から80cmまでの距離合わせが、リングの1/4 以下の回転で行われるのはよい。絞り目盛が。光るメッキの上に黒字で刻んであるのは場合によって見にくいことがある。
(1968年4月号 アサヒカメラ ニューフェース診断室「話題のカメラ診断室 復刻版」より抜粋)
YASHINON-DX 45mm/F1.7 絞り羽
このカメラの絞り羽は5枚で、形状は5角形の形状になります。どうしても逆向時にはゴーストが発生しやすく、この時に5角形ではなく、絞り羽をせめて1枚増やした6角形だったらよかったのにと悔やまれるところではありますが、大衆向けのこのようなカメラでは廉価に仕上げねばならず、仕方のなかったことと思われます。
撮影方法
・バッテリー
YASHICA ELECTRO35 GTは本来は水銀電池(HM-4N)を使う仕様になっています。現在ではこの電池は入手不能ですが、Amazon等でアダプターを購入LR44電池を4本直列に入れてやれば使用することができます。(アダプターは安いものから高いものまでありますが、どちらも構造は単純な物で同じですので安いもので十分です。)
また、サイトを検索しますと、アダプターの自作の方法も紹介されていますので、検索し、制作してみるのも一つの方法です。
・バッテリーについて
ヤシカエレクトロ35GTは後期のモデルはバッテリーチャックボタンのライトはカメラの背面からフィルムカウンター窓が光るよう変更されています(下記の写真を参照)。これにより全て操作が真上から一覧することができるように工夫がされていることがわかります。
今はデジタルカメラの時代ですので、操作ボタン等も背面に集められており、撮影後は液晶画面で確認するという操作になっています。デジタルカメラとこの当時のカメラの思想が違うとはいえ、当時のカメラはシンプルに撮影に専念できるように設計をしているということが解ると思います。
・裏蓋の開閉
巻き戻しノブを引き上げたところから、さらにノブを引き上げることで裏蓋のロックが外れ裏蓋は開閉します。この頃になると現代的なカメラのシンプルな開閉方法になっています。
・シャッターボタンのロック
YASHICA ELECTRO35 GTのシャッターボタンの付け根には誤操作防止シャッターロックノブがあり、ノブについている印を「L」に合わせることでシャッターボタンはロックされ誤操作によるシャッターが切れることを防ぐことができます。
・ISO(ASA)感度設定
軍幹部の上面にISO(ASA)感度設定を行います。このカメラの露出はフィルムの感度と、絞りを設置することにより適正露出の為のシャッタースピードが設定されます。このカメラには、露出補正用ダイヤル等が装備されていませんので、ISO(ASA)感度設定を変更し露出補正を行います。
シャッタースピードがオーバー(1/500秒以上)もしくは、シャッタースピードがアンダー(1/30秒以下)の場合には、隣のオレンジと赤のランプが点灯し、確認することができます。
・YASHICA ELECTRO35 GTの基本設定
このカメラは通常には装備されていない、シャッタースピードの警告ランプや、レンズの記号等が表示されており、一見すると複雑な機構のカメラに見えますが、仕組みを知ってしまうと非常にシンプルな機構のカメラで、とても使いやすいと思います。人によって歯シャッタースピードを自分で設定できないがために物足りなさを感じるかもしれませんが、その分だけ写真撮影に集中できますので、物足りなさは撮影しているうちに忘れます。
このカメラの機構の設計思想は明確に設定されており、撮影者はシャッタースピードを設定できないため、適正露出になるように、表示記号は色分けされて、カメラがよくわからない人でも直感的にわかりやすく設計されています。
1)レンズ上段目表示 [B・AUTO・⚡︎(稲妻型記号)]
B : バルブ撮影
AUTO:基本的にここに合わせて撮影します。ここに合わせることにより、絞りに合わせた適正露出のシャッタースピードが得られます。
⚡︎ :フラッシュ撮影
2)レンズ2段目表示 [☀︎・☁️・田口(窓記号・室内)]
これらのマークは決して強制するものではなく、このエリアを利用して撮影するとシャッタースピードの警告は少ないというガイドです。
☀︎:F16・F11・F8
☁️:F5.6・F4・F2.8
田口 (窓記号):F2・F1.7
基本的に上記を設定し、ピントを合わせシャッターを押すと撮影ができます。
・シャッタースピードの警告ランプと、三段目表示のオレンジと赤の矢印の関係
軍幹部にシャッタースピード警告ランプが設けられています。
警告ランプの色に合わせて、矢印方向側の絞り値を選択するように指示している矢印に見えますが、色の示している矢印の方に絞り環を廻し、絞りを選択します。
オレンジ警告ランプ(SLOW)
シャッタースピードが 1/30秒以下の場合には黄色の警告ランプが点灯し、その場合にはレンズに印記されているオレンジの矢印方向に絞り環を回し適正露出を与えてください。
赤警告ランプ(OVER)
シャッタースピードが 1/500秒を超えてしまう場合には赤の警告ランプが点灯し、その場合には、レンズの赤矢印の方向に絞り環を廻し、適正露出を与えます。
*これらのレンズの記号等は初心者には親切で解りやすい表示ですが、カメラの仕組み、露出のことを知っているユーザーにとっては、不必要な記号で、丁寧な造りの割には稚拙なイメージを感じさせるデザインです。
警告ランプは、ファインダーの上部にも同時に各色の矢印で表示されます。
・シャッターボタンについて
理想のシャッターの操作感は人差し指で半押し状態にしシャッタータイミングを待ち、そのタイミング時に人差し指の指先だけの力加減でシャッターを切る感じです。しかし、このカメラのシャッターのストロークは長く、しかもシャッターボタンのバネの反発が意外と強く、あまり操作性の良いものではありません。また、通常のシャッターはシャッターを切った後はバネの反発は最低限のものとなくなり、シャッターを切った感触を人差し指に感じるのですが、このカメラはシャッターが切れた後も通常のものよりもバネの反発があり、「本当にシャッターは切れたのかな?」と思うことが度々ありました。上記のことから必要以上の指の力で、写真にブレが生じないかな?と不安に感じながらの撮影です(結果は手ぶれになっている写真は1枚もありませんでした。)。この点がこのカメラの残念な点でもあります。
このシャッターの感触は、なんらかのおもちゃに組み込まれているボタンを押すような感触に似ており、安っぽい感じがします。とはいえ、こういったのシャッターの感触は、このカメラに限ったことではなく、この時期の日本レンズシャッターカメラの特徴でもあります。
・ファインダー
このファインダー倍率は0.65倍ですので、この大柄なカメラのサイズの割には大きな倍率ではありません。ファインダーは青みがかっており暗いです。これはファインダー枠と二重像が明るくオレンジ色なために、ピント合わせの時にはコントラストファインダー枠はパララックス自動補正ブライトフレームです。二重像の境目は明瞭ではなく、菱形の面で二重像を合わせる感じですが、暗いファインダーの中に二重像は明るくコントラストも強いため、とりあえず通常の撮影時にはピントを合わせるのには問題はありません。 とはいえ、ファインダー倍率は大きいほどピント合わせは楽になります。
撮り比べ
たまたま、ヤシカエレクトロ35(1969年)と、マミヤ35メトラ(1958年)の2台がカバンに入っていたので、同じ時間帯、同じ場所から、年代は違うカメラですが単なる興味で撮り比べをしてみました。(本来ならば、同じ時期、同じ思想のカメラ同士の比較の方が好ましいのですが、あくまでも参考までに。)
マミヤ35メトラ は、1958年(昭和33年)販売で、ヤシカエレクトロ35よりも11年早い発売のカメラです。ヤシカエレクトロのレンズは45mm F1.7、マミヤ35メトラのレンズは48mm F1.9です。お互いのレンズの長さは若干違いはあれども同じ条件で撮影しています。どちらも雷門の提灯にピントを合わせています。11年の開発の差は大きく、マミヤのレンズは提灯の後方の空の光でフレアーが出ており、提灯の影があまり再現されていません。ヤシカのレンズはフレアーが出ておらず、提灯の影もしっかりと再現されています。また全体的にもすっきりとした画像で、色調にも締まりがあり、綺麗に再現されています。マミヤはレンズに若干カビがあるせいなのか全体的にフレアーがかかっており、全体的に眠い調子になっています。私はこのマミヤのレンズの描写は嫌いではありませんが、このシチュエーションではどうみてもヤシカのカメラの写りの方が一般的に好まれる写真です。このカメラは54年前(2023年現在)に製造されたカメラと考えると非常に良く写る優れたカメラということがわかると思います。
・フィルムの巻き戻し
撮影が終わりましたら軍幹部左の巻き戻しレバーを引き起こし、カメラの底部にあるボタンを押しながらフィルムを巻き戻します。フィルムを巻き戻し、レバーの抵抗が無くなったらフィルムの巻き上げ終了ですので。フィルム巻き上げレバーを引き上げ、裏蓋を開けます。
・コンバージョンレンズ
ヤシカエレクトロ35には、広角レンズ(37.7mm)と望遠レンズ(58.4mm)の2本のコンバージョンレンズと、それに合わせた外付けファインダーが用意されています。
コンバージョンレンズと外付けファインダーを装着したヤシカエレクトロ35GT。
・コンバージョンレンズの使用方法
コンバージョンレンズを標準レンズのフィルター枠にねじ込み、固定させ、専用外付けファインダーを装着します。被写体にカメラに装備されている距離計にて二重像を合わせます。その時のカメラの距離を、コンバージョンレンズに印記されている数値を読み取り、その距離をレンズのヘリコイドの距離の数値を置き換え、カメラの設定を変更します。その後、外付けファインダーを覗き、ファインダーの内部に、WAIDE表示と、TERE表示の枠がありますので、装着したコンバージョンレンズに合わせた枠を選択し、構図を確認し、シャッターを押します。
・YASHIKOR AUX. WIDE ANGLE 1 : 4
DISTANCE TO OBJECT (被写体までの距離)ー CAMERA SETTING(カメラの設定)
0.8 - 1.1 0.9 - 1.2 1 - 1.4 1.2 - 1.7 1.5 - 2 2 - 3 2.5 - 4 4 - 6 6 - 10 10 - 1 5 ∞ - ∞ m.
2.5 - 3.5 3.5 - 5 4 - 6 5 - 7 7-10 12 - 15 15 - 20 20 - 30 30 - 45 ∞ - ∞ ft.
・YASHIKOR AUX. TELE ANGLE 1 : 4
DISTANCE TO OBJECT (被写体までの距離)ー CAMERA SETTING(カメラの設定)
1.5 - 0.9 2 -1.2 2.5 -1.5 4 - 2.5 6 - 4 10 - 6 ∞ - ∞
5 - 3.5 7 - 4 12 - 7 15 - 9 20 - 12 30 - 20 ∞ - ∞
広角レンズ(37.7mm) コンバージョンレンズ無し 45mm(標準) 望遠レンズ(58.4mm)
標準の状態でも周辺光量落ちがあるが、コンバージョンレンズを付けることで周辺光量落ちが目に付く。それは特に望遠側で多く見られます。
・コンバージョンレンズの使用感想
この手のコンバージョンレンズは所有すると満足感は有るのですが、いざ使用するとなると、一旦距離を測った上で各レンズの指定した距離に置き換えるために、速射性はなく、望遠、広角を使用するための苦肉の策感があり、使用していても使いづらさは否めません。これはヤシカエレクトロ35だけではなく、このてのコンバージョン使用カメラに見られる手法であり、そのために1度使用すると、その後は使用しなくなる可能性は高いです。それであるならばAGFAのアンビジレッテのような、レンズ交換のできるレンジファインダの方が使い勝手が良く、楽しめます。
ELECTRO 35 GTの
パンフレット
やさしいエレクトロ35GT 写真教室
ELECTRO 35 GT 使用説明書
ELECTRO 35 GX 使用説明書
参考文献・参考サイト
・ヤシカエレクトロ35 GT 取扱説明書
・ヤシカ グリップ三脚 取扱説明書
・ヤシカエレクトロ35 GT パンフレット
・ノスタルジックカメラ マクロ図鑑 Vol.Ⅱ:株式会社ネコパブリッシング
・「ヤシカエレクトロ35の技術資料」小崎恭太 小平喜十 萩原守 :写真工業 1966年6月号 P30〜P36
・「大口径レンズシャッターカメラの魅力」大口径レンズシャッターカメラの歴史 私のお気に入り大口径レンスシャッターカメラ7機種
私のお気に入り大口径レンズシャッター ヤシカ エレエクトロ35 川又正卓 :写真工業 2005年5月号 P 44〜P45
・ カメラレビュー クラシックカメラ専科 -35 日本のカメラ 50年特別号 P102
・ カメラレビュー カメラドクターシリーズ(第2集)アサヒカメラ連載( ニューフェイス診断室から )「話題のカメラ診断室」P263 ~ 268
-コデラ的-Slow-Life-
時代を作った“電気”カメラ
YASHICA Electro 35 GT(S)
Web site名「レンジファインダー 」。
1. カメラの修理。 2. カメラの機種、仕様。 3. 作例
が掲載されているサイト。
レンジファインダーでどんなカメラか判らない場合に調べるのに、大いに役立つサイトがここ。ここのサイトは基本的に故障しているカメラを修理し復活させ、撮影するというのがコンセプトです。またカメラの基本仕様が掲載、作例も載っていますので、中古カメラを購入するか否かの場合には大いに役立ちますし、修理の仕方も勉強になります。